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絵本が発売になりました!

『ととのはたけと、うたれちゃったしか』

作画を担当した絵本『ととのはたけと、うたれちゃったしか』が本日発売となりました。予約販売期間に入手していただいた方々でご感想を下さった皆様、本当にありがとうございます。

本文は甥の凪(なぎ)くんが昨年夏休みに書いた作文ですので、その年末に絵本化の話をいただいてから、すごいスピードで出来上がった本です。しかし携わった誰もが、本当に慎重に、その世界をどう表現し、届けていくのかということを考えに考えくださっていました。

作者の凪くんは、お父さんの畑で感じた出来事を、本当に純粋な気持ちで表現してくれましたし、ご家族の皆さんとしては、その小さな世界を忠実に表現してもらいたいと願っていました。編集者の方々は、そうしたことを受け止めつつも、本人の感覚や読者の捉え方、本として世に出ることの影響力などを考え、一番良い形にするために心を尽くしてくださいました。

私はといえば、凪くんと同じ地域に住んでいるものとして、彼が見てきた風景を、できるだけそのままの形で皆さんのもとに届けたいという想いで作画に臨みました。

私たちの住んでいる地域は自然が非常に近く、野生動物に出会うことが良くあります。そうした動物との距離感や、日々の暮らしの中で出会う風景は、生活の一部であり、背景なのですが、そうではない生活をしている方々にとっても、どこか懐かしさを感じてもらえればと考えていました。幼い頃の夏休みの思い出や、故郷のことなどを思い出していただけるようなきっかけになれば嬉しく思います。

今回の作画のなかで、今までとは違う技法にも挑戦し、改めて郷土の風景と向き合う中で、新たな発見もありました。夕方の空の光が、こんなにも複雑な色でできているのかという驚きもありました。この10年、故郷の風景を作ってきたので、正直なところ、ある程度はできるだろうと高をくくっていたところもありましたが、結果としてそれは単なる思い上がりだったということが良く分かりました。私自身の中でも非常に思い入れの深いイラストばかりです。是非お手に取っていただければ幸いです。

皆さんの手元に、私の小さな友人の夏休みの思い出が、季節の風とともに届きますように。